『視覚マーケティングのススメ』

視力が1.5の人と0.1の人とでは見える世界にはどんな違いがあるだろうか。コンタクトレンズを常用されている方であれば、その落差は馴染みあるものかも知れないが、そうでない人にとっては、見える世界だけが常識となる。

日頃から“良いもの”にふれる習慣をぜひつくってください。これは、毎日コンビニ弁当ばかり食べている人が、だんだんと味覚がそれに慣らされてしまい、保存料や化学調味料の味に気づかなくなってしまうことと同じで、とても怖いことです。(p.47)

これは、「視力問題」にも通じる話といえる。自分が見えている世界にとらわれず、むしろ自分ではなくターゲットとなる顧客に見えている世界、すなわち顧客の視力にマッチした世界を提供する必要がある。これが「視覚マーケティング」。

とはいえ、ビジネスのカギを握るのは「どう見えるか」というデザインだけで決まるものではもちろんなく、機能やこれを下支えする技術力が不可欠。

アップル社の場合、もちろん価格帯別の展開はしているものの、「デザインにします? 機能にします?」的な、二者択一はしていないはずです。iPodにもiMacにもMacBookProにも、その両方を盛り込んでいるといえます。ユーザーのニーズをしっかりと把握し、新しい技術を創り出す。そして、その技術を求められるデザインで提供し、顧客に感動を与えているのではありませんか?(p.84)

つまり、デザイン一辺倒でも機能一辺倒でもない、両者が共存した状態を作り出すわけだ。すなわち、機能に見合うデザイン、デザインに見合う機能。それゆえ、誰かのデザインだけを真似たり、機能だけを似せても、そこに両者の共存がなければ、競争力は生まれない。

自分という人間が最大限に力を発揮するためには、どんな相手にどのような見せ方をすれば良いか。そんな疑問があるなら、本書はその解決のためのヒントになるはず。

視覚マーケティングのススメ (アスカビジネス)
クロスメディア・パブリッシング
発売日:2008-05-14
おすすめ度:4.5
おすすめ度5 デザインとマーケティングを融合させて語ったNO1本だ。
おすすめ度5 デザインの持つ威力を生かしてマーケティングを実践していこう
おすすめ度5 こういうのが欲しかった
おすすめ度5 デザインを「クラス」と「タイプ」で読み解く
おすすめ度3 文中の理論を表紙のデザインで体現してほしかった。。。