『社会化した脳』

これは傑作。

一口に「コミュニケーションの心理学」などと言っても、そこにはアテにならないものから、十分な研究がなされているものまで、実に玉石混淆。

本書は、「社会神経科学」という、まかり間違うと流行の目くらましに終わってしまいそうな学問分野を、精緻に追求した内容になっている。

人間が社会の中で、「脳」を使っていることは間違いないわけだが、それはどのように使われているか、まだまだ未知の領域が広大すぎるほどある。それでも本書を読めば、「もうそんなことまで分かっているのか!」という驚きがきっとあるはず。