『無意識の脳 自己意識の脳』

少し難しい本だったが、これほどためになった本はあまりない。「意識」に対するとらえ方が、非常に幅広いものになった。

我々はふだんまず気づくことのない、膨大な「意識の萌芽」のようなものを抱えている。ある道を歩くのはいやだな、とか、この人といると心地よいといった意識の、さらにその前段階に当たるような微弱な意識だ。

でもそういう微弱な脳の「気づき」が、繰り返されれば「意識に昇り」、意識に昇ればさらに強く意識する。その結果「感情」が形成され、もっと強い自覚が生まれる。このようにして「無意識」は「自意識」になる。

では、行動を変えるほどの意識というのは、あるいは継続して何かを成し遂げるための意識というのは、繰り返し渦を巻いて「1つの意識」を形成しなければならないはず。こういうカラクリを頭の中に持たなければ、たまたま「強い決意」をしたとしても、脳内電流の渦の中に、消え去っていってしまう。