『本の読み方 スロー・リーディングの実践』

本書では、少なくともビジネス書の潮流からすれば、「時代に逆行」した主張がなされている。フォト・リーディングをはじめ速読・多読がこれほど求められている中で、「スロー・リーディング」。

賛否はあるだろうし、本書を読めば反発心も起こってくるに違いない。けれども、たとえば本書の著者である平野啓一郎さんの『日蝕』などを読むと、深い教養を感じさせられるし、「さぞたくさん本を読んでるんだろうなー」と思いこまされる。その人が、「精読家」であり、「多読はしない」というのは面白いと思う。

「人の3倍の本を読む」のが1つの方法なら、「一冊の読書体験を3倍深いものにする」のもひとつの考え方だろう。