『トム・ソーヤーの冒険』

冒頭で、トムが、怖いおばさんに言いつけられた壁のペンキ塗りを、友達に押しつけてしまうというエピソードがある。

トムはペンキ塗りをやりたくない。そこでトリックを考える。それは楽しそうにペンキ塗りをやること。そこへ友達が通りかかり、トムがあまり楽しそうなので、ペンキ塗りをかわってくれと頼みこむ。

しかしトムはわざとかわってやるのをいやがるふりをして、恩着せがましく友達をじらす。最後には友達は、壁塗りをさせてもらうためにトムにおもちゃを差し出すところまで行く。

著者のマーク・トゥエインは、こういう不思議な人間心理について次のような説明を施す。


「仕事とは、人がやらなければならないものであり、遊びとは、人がやらなくてもかまわないものだ」

我々が簡単に本来の作業から「脱線」しがちであるのは、ネット・サーフィンやミクシィは「やらなくてもいいもの」だという認識があり、仕事は「やらなければならないものだ」という意識が強すぎるからだ。事実その通りだが、そのギャップがあまり大きくなると、仕事に向かうプレッシャーが強くなりすぎてしまい、「脱線」から逃れられなくなる。