『行動経済学 経済は「感情」で動いている』

人は「感情で物を買う」。もっと言えば人は「ストレスで物を買う」。それゆえストレスレベルが上昇すればそれだけ、「無理をしてでも購買する」という行動へ走る。

たとえば、「手に入る目前なのに、なかなか手に入らない」状態が続くと、ストレスレベルは増大し、なんとしてでもそれを手に入れようと考えるようになる。

オークションで競り合っているときが好例だ。「負けられない」というような、意地の張り合いという感情もあるだろう。要するに、衝動が急激に強化されていくのだ。

感情をコントロールするということ自体を忌避している人の中には、そうした「衝動に沿って生きる」ことの中に自由を求める人もいるが、衝動の強い突き上げを受けて行動しているから自由だ、とは言えない。

脳科学的にはこれは一種のメカニズムの作動である。ライオンがウサギを全力で追いかけている最中に、ふと「飽きた」となっては非経済だから、「まもなく手に入る物」(それがなんであろうと)を強く欲望するように、人の心は作用するのだろう。でもこれにいちいちつきあっていては、さして欲しくもない物に、たくさんお金を使う羽目になってしまう。

だからこそ、衝動をやみくもに刺激されるようなパターンには、気をつけるべきだ。オークションなども、「熱くなりやすいメカニズム」であることを知っておけば、冷静に対処することができるはずだ。

こういった心理については、行動経済学という分野で研究されているのだが、そのものズバリのタイトルの新書が以下。副題もあつらえたように「経済は「感情」で動いている」となっている。